認知症の診断・治療(アルツハイマー病など)・軽度認知症について
認知症とは「生後いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退・消失することで、日常生活・社会生活を営めない状態」をいいます。
認知症の原因としてはアルツハイマー病が最も多いとされますが、様々な疾患が認知症の原因になりえます。とくに、中枢神経系に病巣をもつ次の疾患が代表的です。
【アルツハイマー型認知症】
脳の神経細胞が減少し、脳全体が萎縮することで起こる認知症です。症状はもの忘れから始まることが多く、比較的ゆっくり進行します。ある調査では、全認知症のうちアルツハイマー型認知症が占める割合は57.3%で、最も多い認知症です。
【血管性認知症】
脳梗塞や脳出血などの脳の血管障害によって起こる認知症です。ダメージを受けていない部位の認知機能は残るなどの特徴があるほか、アルツハイマー型認知症と合併するケースも多くみられます。おなじ調査では全認知症のうち15.5%を占めています。
【前頭側頭型認知症】
大脳の前頭葉や側頭葉の萎縮による認知症です。65歳未満の比較的若年発症が多く、抑制ができない、社会性の欠如といった人格の変化や、同じ行動を繰り返すなどの特徴がみられます。同調査では全認知症のうち10.0%が前頭側頭型認知症と診断されています。
【レビー小体型認知症】
レビー小体という特殊なタンパク質が大脳にたまることによって起こる認知症です。日によって症状に波がある、具体的な幻視がある、動作がゆっくりになるなどの特徴がみられます*4。同調査では全認知症のうち4.1%を占めます。
など
認知症の治療
アルツハイマー病などの認知症の根治は現在でも難しいとされています。最近は発症の20~30年前からの生活習慣が大きく影響することがわかっています。いち早く生活習慣の改善による発症予防を目指すことが望ましいと考えられます。不幸にして認知機能の低下の初期症状が出た場合には 積極的に早期発見し、適切な薬物治療により病状の進行を遅らせて日常生活に支障がないように、加えて薬物治療以外のリハビリ、介護サポートなどを受ける必要がでてきます。発症予防 早期発見のためお早めにご相談ください。
*軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment):正常な状態と認知症の中間であり、記憶力や注意力などの認知機能に低下がみられるものの、日常生活に支障をきたすほどではない状態を指します。65歳以上でMCIの人の割合は15~25%と推定されており、MCIであることが気づかれないままになっている人も少なくないと考えられます。軽度認知障害の人は年間で10~15%が認知症に移行するとされており、認知症の前段階と考えられています。早期に発見し適切な対策をとれば、MCIを改善したり、認知症の発症を予防できる可能性があります。
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